日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

財政が苦しいからと、年金改悪で人口比率の最も多い高齢者の生活基盤を破壊しては日本という国は存続できない。

財務省厚労省による年金改悪路線が進んでいる。今回の改悪方針は従来物価上昇に年金を連動させることになっていたものを(実際はマクロ経済スライドが実施される為物価上昇分は上がらない)、賃金が下落すれば物価が上がっても年金を引き下げるものである。

さらにマクロ経済スライドについても、以前は物価上昇がなければ実施されなかったものが、改悪後はまとめて後で調整されることになる。

この制度が実施されれば、実質的な年金支給額が現在水準より減り続け、実質的に老後生活の要としての役割を果たせなくなる。

財務省厚労省、その手先のマスコミや御用学者はこれが若者の為になると主張している。しかし、それは大嘘である。

マスコミや御用学者は官僚の意向を受け、現役世代の年金を減らした分、若者世代の年金が増えると主張しているが、この改悪を実施した場合若者世代の年金は現役世代の年金より少なく、現役世代の年金が生活基盤としての水準を下回れば若者世代の年金もまたこの水準を下回り、年金は老後の生活基盤としての役割を果たせなくなる。

また、日本社会の未来が非常に不安定になるというリスクを考慮していない。

現在でも年金額は年間200万円前後であり老後の生活費には100万円程度不足している。真面目に働いてきた多くの普通の高齢者はその年金と2000万円前後の貯蓄を取り崩し老後の生活をおくっている。しかし、この改悪が実施されれば年金額は年々減少し預金の取り崩しだけでは賄えなくなり、高齢者の半数が80代になれば貯蓄を失ない貧困化することになる。

現在総人口の27%を占める65歳以上の高齢者は15年後には30%を超え、このまま年金改悪を継続すれば、人口の15%以上が新たに破産状態に陥る可能性が高い。これでは日本の社会は崩壊する。

高齢者が30%を超えることが確実な現在、考えるべきことは高齢者の生活をどう維持するかであり、まず手をつけるべきことは高齢者が能力を活かし働ける環境を整備することである。その対策を何ら提示できず、目先の財政だけを考えて高齢者の生活の基礎である年金制度を毀損するのはあまりにも弊害が大きい。

破綻した高齢者が生活保護に頼れば、莫大な税金が必要となり、これは全て若者の負担になる。生活保護に頼れず、若者世代の親が困窮し日々の生活に困る状態ともなれば、少ない収入から仕送せざるを得なくなる可能性は否定できない。

生活保護も仕送りもできないとなれば、日本人は高齢になり収入がなくなれば貧困で餓死するというのが常態となり、これはもはや現在の日本社会とは別物であり、日本の伝統的な価値観や社会が崩壊したことを意味する。

これから年金に頼ることになる若者世代自信の老後にとっても年金が減額され生活基盤としての役割を果たせなくなることは深刻である。現在の高齢者の少なからぬ部分は正社員として働き、退職金等により2000万円程度の貯蓄のある者が多い。しかし、現在の40代以下の者は非正規社員として働いている者も多く、貯蓄でなきないだけでなく退職金も期待できない者が多い。

今回の改悪を容認すれば、彼らが65歳になり職を失う頃には年金は既に小遣い程度に減額されており、65才で職を失うなうことが即貧困化に直結することになりかねない。

年金財源の不足が予想されるからといって、老後生活の命綱としての年金本来の役割を無視し、年金減額に走るのはあまりにも短絡的である。

仮に年金減額がどうしても必要だとしても、年金減額後の老後生活のビジョンをはっきり示し、その為の環境を整備するのが政府の役割である。

そして何よりも、少子化を解消しないことにはこれらの問題は何一つ解消しないので、政府として明確で実現性のある少子化対策を示すべきである。

年金改革はこれらの未来ビジョンの一環として実施すべきである。