日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

景気拡大を目標としながら、デフレを拡大しバカな若者を将来的にホームレス化する年金改悪法案を強行採決する安倍の経済センスのなさ

安倍政権が衆院厚生労働委員会公的年金改革法案、いわゆる“年金カット法案”を強行採決した。これは日本人の老後そのものを破壊する悪法である。

ニュース等では、物価と賃金で下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額するということばかりが報道されているが、この法律のより悪質な本質は別のところにある。

それはマクロ経済スライドの繰越である。従来は物価上昇がなければその年にはマクロ経済スライドの実施は見送られてきた。

今回の法律改正で、見送られたマクロ経済スライド部分は次回の物価上昇時にまとめて差し引かれることになった。

マクロ経済スライドは現在で約1%、今後はますます増加すると考えているが、仮に1%のままだと仮定しても、この改悪により、実質的な年金は20年で20%以上減額されることになる。

老後の生活費は夫婦で最低300万円は必要とされている。一方で夫婦2人の厚生年金受給額の平均は220万円程度であり、毎年80万円の貯金を取り崩して生活しているのが平均的な勤労者の老後の生活である。

現在の高齢者は真面目に働いていれば退職金と併せて2000万円程度の貯金を持っているので、65歳から25年程度は生活可能であった。

しかし、今回の改悪により20年後には年金額は20%減の176万円となり不足額は124万円で25年では3100万円不足することになる。(勿論この後も減額が続くので実際はもっと不足する)

20年後の定年退職者は現在と比較し、退職金も少なく、現役時の収入も少ない為、不足額を貯蓄で賄うことは不可能であり。少なからぬ部分が老後の途中で無一文になりホームレス化することになる。

年金改悪を受けテレビのインタビューを受けていた若者が今回の改悪に賛成していたが、あまりにも愚かな意見であり、40年後には彼らは完全にホームレス化していることだろう。

今回の年金改悪が実施されても、彼らの負担する年金額は減額されないし、彼らの受け取る年金額は減少することはあっても増えることなどありえない。

安倍自民党が今回の年金改悪で若者の年金が増えると主張しているが、これは詐欺である。

年金財源の問題について言えば、今回の改悪をやってもやらなくても財源は大きく不足しており、この解決には年金改悪とは別の財源が必要なことは何ら変わらない。年金財源の不足額は桁外れに大きく、この程度の小手先の改悪では何の影響もない。

一方で、今回の改悪を行わなければ、現役高齢者の年金額の引き下げ額は少なく、それを基準に算出される新規年金受給者の年金額も改悪前よりは多い金額となる。

今回の改悪がもたらすものは、今まで以上の年金への不信と老後不安である。現役の年金世代は今回の改悪があっても生活可能であるが、従来以上にサイフの紐を絞めることは間違いない。人口の3割を占め、最大の預金量を有する年金世代がサイフの紐を絞めることは日本経済の需要悪化に直結する。

現在の40代より若い世代は老後生活を年金だけに依存することは不可能になり、安定した所得と職を持っているめぐまれた層については、消費を減らし貯蓄を増やす方向に動くことになり、これによっても日本の内需は大きく減少する。

一方、増加しつつある非正規労働者については老後生活の目途が立たない為、老後については何も考えず、その日暮らしを続け、働けなくなれば生活保護に頼るかホームレスにならざるをえない。

その当時には生活保護人口が急拡大している為、多くがその恩恵に預かれず日本中に高齢のホームレスがあふれることになる。

これが安倍の目指す美しい国日本の末路であり、今回の年金改悪はその第一歩と言える。次の消費税増税が決定的な一歩となるだろう。