日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

日本がデフレ脱却できないのはあたりまえ、不思議に思う方がどうかしている。

政策当局や経済学者の中には、こんなに金融を緩和し賃上げも実施しているのに何故日本のデフレは解消しないのか、と不思議に思っている者がいるらしい。

 

彼等には不思議かもしれないが、一般の庶民感覚からみればデフレが解消しないのはむしろ当然であり何も不思議なことはない。

 

そもそも金融緩和は庶民には何の関係もない。メリットがあるのは企業にとってだけである。しかし、企業と言っても業績が良く借金の必要性の少ない優良企業にとっては何のメリットも無いどころかむしろ運用収益が減少するデメリットの方が大きい。

 

借金体質の企業にとってはメリットが大きいが、国内市場の成長が期待できなければ借金してまで国内で投資するメリットは何もない。結果的に金融緩和は国内設備投資の増加につながらずデフレ解消に寄与しない。

 

賃上げは確かにその余力のある大企業に勤めるサラリーマンにとっては個人消費を増やす誘因にはなりうる。

 

しかし、消費を増やそうと思うほどの賃上げの恩恵を受けるのはサラリーマン全体のごく一部にすぎない。非正規社員にはほとんど恩恵はなく、3000万人に達する年金生活者はむしろ収入減となっている。

 

一方で深刻なのは老後不安である。20代の若者でさえアンケートに老後が不安と答えているのは正に異常事態である。

 

当然高齢者自身も30代40代の中堅層、50代の高齢者予備軍も深刻な老後不安を抱えている。

 

となれば、余裕資金があっても消費に回さず貯蓄に回すのは当然の合理的な行動である。一方企業は国内市場に将来性を感じていないので、その資金を借入て国内での設備投資に使用することはない。結果せっかくの預金は海外で使用されるか債券投資等に使われ、デフレ脱却には寄与しない。

 

政府と財務省厚労省が財政危機と社会保障危機を強調し、増税社会保障改悪を20年以上継続してきた為に、老若男女全ての国民に老後不安の恐怖が植え付けられ、結果的に消費より貯蓄を選択する行動が定着してしまっている。

 

この状態では政府がどんなに景気拡大対策をとっても消費は増加せず、政府が期待するようなデフレ脱却は実現できない。

 

政府が説得力のある少子湖高齢化解消対策と少子高齢化時代における老後生活の具体的なビジョンを提示し環境を整備することで国民の信頼感を回復しない限り、日本はスタグレーションになることはあってもデフレ解消は達成できず、滅びの道を歩み続けることになる。