日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

可処分所得が伸びず将来不安が増すばかりでは、どんなにコストが上がっても物価上昇は受け入れられない

物価上昇率2%以上を掲げ大幅な金融緩和を行ったが、日銀の物価上昇目標達成は絶望的な状況にある。

 

人手不足による人件費の上昇を受け、企業間取引では値上げが広がっている。人材派遣料は3%近く上がり、トラックなどの陸上貨物輸送の価格は2018年度に前年度比4%強上昇し、卸売り段階の製品価格を示す国内企業物価指数の上昇率も2年連続で2%を超えた。

 

しかし、消費者にその物価上昇を転嫁できないでいる。以前ビックリしたイオンでのインスタントラーメン5パックの価格もいつの間にか550円から390円に低下している。

 

失業率は歴史的な低水準で、安倍総理の意向で賃上げも実施されており、企業には値上げをしやすい環境のはずだが、消費者はなかなか受け入れてくれない。

 

これには二つの大きな要因が考えられる。一つは将来や老後への不安である。

 

今回の老後2000万円不足問題に代表されるように老後不安が尽きないのである。年金そのものに対する不安と老後生活に対する明確なビジョンが提示しない政府に対する不信感が消費者の消費意欲を削いでいる。また、少子高齢化の進行が構造的に日本の未来を暗くしているが、政府からは何の対策も出ておらず、このことが本来消費できる資産を持つ層に対しても将来に備え現在の消費を抑える選択をとらせている。

 

もう一つの要因は安倍政権の賃上げの恩恵を受けられない層の増加である。年金受給者が4000万人、非正規労働者が2000万人存在し、彼らのほとんどは賃上げの恩恵とは無縁であり、物価が上昇しても消費量を減らすだけであり、需要の増加にはつながらない。

 

この状態で無理に小売物価を上昇させれば、企業の売上が減少し、生活困窮者が増加することで社会が不安定化することになる。

 

政府は憲法改正よりも、少子化対策、高齢者の生活対策、低所得者の所得増加対策について明確なビジョンを提示し実効ある施策を実施することを優先すべきであろう。