日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

年金政策の失敗は国民年金を作り、厚生年金に寄生させたこと

年金だけでは老後資金が2000万円不足する、と発表されて以来年金問題与野党の争点となっている。しかし、2000万円不足で済むのは夫が一流企業に40年以上勤務し妻が国民年金を満額受け取れる家庭(これがモデルケースとされている)だけであり、厚生年金を受け取れる家庭であっても大部分はそれ以上資金が不足することになり、結果的に日本人として人並みの老後生活をおくることをあきらめなければならない。

国民年金だけの家庭に至っては貯金がなければ事実上老後に人並みの生活を送ることはできない。元々国民年金は厚生年金や共済年金と異なり、それで生活することを前提としていないからである。

 

元々年金は共済年金と厚生年金だけであった。公務員や労働者には定年制があり、一定の年齢になれば退職を強制され生活の糧である賃金を得られなくなる。その後の生活を保障する為に導入されたのが年金制度であった。

 

だから、共済年金や厚生年金は贅沢はできないけれど生活するに十分な額に設定されていた。

 

一方国民年金は元々自営業者等定年制度の無い層を対象としたものであり、それだけで生活することを前提としたものでなく、収入を補填するものとして発足した。

 

自営業者なら高齢になって収入が減っても国民年金で補填することで従来通り生活できる、というものであった。

 

しかし、老後生活には不足することから加入する者が少なく国民年金財政は悪化し救済の為に厚生年金と合併させざるを得なくなった。

 

結果的に健全であった厚生年金の財政が悪化し、今日の共済年金・厚生年金を含めた年金財政全体の悪化の最初の要因となった。

 

さらに、自営業者だけではなく、小泉・竹中の政策により急増した非正規労働者の多くが厚生年金に加入できず国民年金に加入することになり、国民年金だけしか受給できない多くの老後破綻候補を抱えることになった。さらに国民年金にも加入できない貧困非正規労働者も多数存在する。

 

国民年金制度は現在その役割が社会のニーズに合致しておらず、国民全体の老後生活をどうするかという視点から年金制度全体を見直す必要がある。