日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

日本の既得権重視政策がワクチン導入を遅らせ、東京オリンピックを失敗させた

今回の東京オリンピックは海外の観客を無にした時点で失敗である。日本が、本気で東京五輪を開催したいならば、実は「ワクチンの確保」こそ、万難を排して取り組むべきことだった。しかし、ワクチン接種の開始は、G7で最も遅かった。接種完了した人数は、米国4452.89万人、トルコ501.37万人、ドイツ324.60万人、英国230.04万人だが、日本は2.54万人にとどまっている。

 

多くの国で、最高責任者が製薬会社と交渉して、ワクチン獲得競争を繰り広げている一方、日本は厚生労働省が製薬会社と交渉してきた。だが、製薬会社が望む医療データ提供について、プライバシー保護の観点から不可能と拒否するなど、従来の国内規制に沿った杓子定規の回答を繰り返し、交渉がうまく進まなかった。
 

首相官邸がワクチン獲得に動けなかった要因は、厚労省と国内製薬会社の既得権益を守ろうとする動きだ。基本的に、厚労省は国内製薬会社を守るために、海外メーカーからのワクチン調達に後ろ向きだ。海外メーカーと杓子定規な交渉に終始し、事態の打開に首相を担ぎ出すことを避け続けた。いつもの官僚支配の弊害である。

 

もう一つ深刻な問題がある。政府が設置した専門家会議の委員は過去の業績を認められた学会の権威であり、現在、新興感染症パンデミックを世界の最先端で研究している人ではなく、従来の常識を超えて驚異的なスピードで進むワクチン開発の状況をつかめていなかったことだ。

 

これまで、感染症のワクチンが数年以内に開発されたことはなく、日本政府もワクチンによる短期間でのパンデミック終了を想定していなかった。DNAワクチン、RNAワクチンなど、新しいテクノロジーが開発されていたことで、このコロナ禍で1年以内でワクチン開発が実現したが、日本ではそれを導入する準備ができておらず他国に遅れをとる結果となった。

 

ワクチン以外の分野でも日本では同様に新規技術の導入や危機対応において致命的な遅れを生じる可能性が高い、既得権を守ろうとする官僚支配と、過去の権威者を優先し最先端の研究者を無視する権威主義である。

官僚の既得権と各分野での権威者という既得権者優先体質を改善しな限り、日本の科学技術も他国に大きく後れをとるだろう。