日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

年金減額で高齢者の気持ちを縮ませていては、日本経済は絶対に良くならない。

3月2日のワールドビジネスサテライトで新たな消費のトレンド 新60歳市場が熱い!!という特集があった。

 

専門家は60歳前後は「自分たちが文化を創ってきた自負がある」と分析し、今の60歳前後は上質なものを見てきた世代であり、高くても高品質なものを買い求める傾向があるとしている。

 

確かにその通りである。さらに言えば今の60代から70代前半は世代別にみて最も人口が多く、金を持っている層である。

 

彼らが金を使うことで日本の経済は発展することができ、彼らが金を使わなければ絶対に日本経済が浮上することはない。

 

ところが今まで、彼らが金を使いたくなるような商品やサービスの提案がなく、それが日本の消費を停滞させているひとつの原因でもあった。

 

今回のWBSの特集は、シニアにあった商品やサービスを提供できれば、大きな消費増が期待できることを示している。

 

ところが、もう一つ高齢者の消費を妨げていものがある。それが継続的に政府が実施している高齢者をターゲットとした増税等の負担の増加である。

 

1999年には、額面の年金収入が300万円あれば、手取り額は290万円だった。ところが2015年には、同じ年金収入でも手取り額は258万円になってしまった。

 

さらに政府は財政危機を煽ることで、高齢者に今後も年金額の手取りは減額していくだろうと確信させている。

 

このことが高齢者の財布の紐を厳しく絞めさせる大きな要因となっている。こんなことをしていては日本の経済が政府や日銀の思うように回復することは期待できない。

 

実際のところ、高齢者をターゲットに増税しても、年金会計や国の財政の改善にはほとんど効果は無い。

 

一方、企業に定年まで勤め普通のサラリーマン生活を送ってきたこの年代の高齢者にとってこの程度の手取減は生活苦に陥るほどでもないのも事実である。

 

現在の60代から70代前半の高齢者にとっては仮に年間30万円程度手取りが減っても、余命25年として750万円程度であり、生活苦に至る額ではない。

 

しかし、生活を縮小し金を使わないようにするには十分な額である。本来このような将来不安がなければ、年間100万円程度は貯金を区がして消費するものが、政府に対する不信と将来不安から貯金の取り崩しをできるだけ控えることになり、最も資金を持つ高齢者の消費が拡大しないのが現状である。

 

また、この年金所得者に対する増税により、最も大きな影響を受けるのは40代以上の低所得者である。彼等は生活できない程度の少ない年金から大きな税や社会保険負担を引かれることにより、65歳以降に職を失えば5年以内に生活できなくなる可能性が高い。