東洋経済の野村某という記者が「財政の「ゆでガエル状態」は、どれだけ危険か」という記事を書いている。結論はこのまま放置すれば財政が破たんし大変なこととなる、というもので何の新しいこともない、従来からの財政再建論者の主張の繰り返しにすぎない。
ゆでガエル状態とは、ゆっくりと進行する危機や環境変化に対応することの大切さ、難しさを戒めるたとえ話の一種で、おもに企業経営やビジネスの文脈でよく用いられる。カエルを熱湯の中に入れると驚いて飛び出すが、常温の水に入れて徐々に熱すると、カエルはその温度変化に慣れていき、生命の危機と気づかないうちにゆであがって死んでしまうという話である。
野村氏は日本の財政赤字は正にこの状態であると指摘しているわけだが、根本的なところで認識が間違っている。
しかし、今後20年の人口構造をみるかぎり、社会の安定性を崩壊させるほどの国民負担無しには財政健全化は不可能である。
根本的な対策はできるだけ早く少子化を解消することであり、それ以外に方法はない。しかもそれができる時間的余裕は年々少なくなっている。
可能な限り早く出生率を増やし、日本社会の人口構造が改善される20-40年の間、経済成長、超長期国債、無利子国債、政府紙幣等を活用して財政を凌ぎ、少子化解消後の50年程度の期間をかけてその負債を解消する以外に日本の危機を脱却する方法はない。
このまま後5年、少子化解消に無策でありつづけるならでは50年後に日本が現在の繁栄を続けている可能性は限りなくゼロに近く、アジアの貧困国の仲間入りをしている可能性が高い。