高齢者による大きな交通事故が発生すると、マスコミによって殊更運転者の高年齢が強調されている。
また、警察庁も交通事故に占める高齢者の人数が多いことを根拠に高齢者に対する免許継続の厳格化と免許返還を促進する動きを見せている。
地方においては特に高齢運転者の比率が高いが、それは地方では公共交通機関が無く車が無いと生活が非常に不便だからである。高齢化と労働力不足が問題化している地方において、高齢者を家に閉じ込める政策は時代に逆行している。
地方における公共交通網の整備については何ら対策をうたず、一方的に高齢者に運転免許返還を迫るのは片手落ちである。
また、マスコミや警察が強弁するほど高齢者の交通事故が多いかというと決してそうではない。統計を利用した警察やマスコミの世論誘導が行われているにすぎない。
高齢者人口が増え、それにつれて高齢運転者の人数が増えているから高齢運転者の事故の絶対数が増えるのは当然である。
本当に高齢運転者による事故が多いか否かを判断するには同じ数の運転者で年齢別に比較する必要がある。
警察の統計による年齢層別免許保有者10万人当た り交通事故件数でみると平成29年の数値は以下のようになっている。
16-19歳 1649.9 20-29歳 1238.5 30-39歳 1027.2件 40-49歳 952.8 50-59歳 897.0
60-69歳 939.8 70-79歳 1079.4 80歳以上 1342.7
80代以上はやや多いが、10㈹りははるかに少ないし20代と比較してもそれほど多いわけではない。
高齢者には個人差があり、一律に70歳や75歳から免許書き換え時に余分な試験を追加するのは年齢を理由とする差別に他ならない。憲法違反として訴訟するに値する。試験を追加するなら全年齢層に平等に行うべきである。
また、高齢者に多いと言われるブレーキとアクセルの踏み間違いなどは、車に自動ブレーキの装備を義務化すれば完全に防止できる。
世論操作して不当に高齢者から免許を奪い生活の自由を奪うのではなく、自動ブレーキの設置義務化や公共交通機関の充実に努めるのが政治のすべきことである。