日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

マクロ経済スライドの実施は個人消費減少の起爆剤

毎年度実施する年金額の改定で、支給額を抑える「マクロ経済スライド」が2019年度に続き20年度も発動される公算が大きくなった。発動の条件となる今年1年間の物価などがある程度上昇する見通しとなったため。高齢者にとって、今年度と比べた支給額は横ばいか増加となるが、増えたとしても物価や賃金の上昇ほどは伸びず、実質的に目減りする。

安倍政権は賃上げを後押しする等の経済対策を実施してきたが、個人消費は拡大せず経済対策の効果は上がっていない。

その原因は最も根本的なことをことを見落としているからである。それは60歳以上の高齢層の個人消費は日本の個人消費の半分に達しているという事実である。

いかに賃上げや最低賃金を引き上げても高齢層の消費が増えないと日本の経済は成長しない。

ところが、安倍政権の実施してきたことはシニア層の消費意欲を減退させるものばかりである。マクロ経済スライドの実施による年金の削減政策はその最たるものである。

年金が将来的に物価上昇をカバーできず目減りすることと、消費税増税等による可処分所得の減少に対する恐怖はシニア層の消費行動を強く抑制している。これでは他でどんなに経済対策を実施しても効果は期待できない。

年金を削減し続けても年金生活者が生活保護対象者に代わるだけであり、税金の節約には寄与しない。それよりはマクロ経済スライドを廃止し年金生活者の将来不安をなくすことで消費拡大を図った方が景気対策としても財政対策としても余程効果的である。