日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

円が高いというのはもはや幻想にすぎない

日本ではいまだに円高だと信じている者が多い。マスコミや経済界を中心に円高の問題点を指摘する発言が多く見られる。株式投資などでも円高よりは円安を歓迎している。

しかし、もはや円が国際的に高い通貨である。というのは幻想にすぎない。円は決して強くないのである。むしろ弱い通貨になりつつある。

海外旅行をすればわかることだが、一昔前は海外に行くと日本より圧倒的に物価が安く、円を持っていけば割安に多くの買い物や贅沢が可能だった。当時円高の恩恵は実感できたのである。

ところが現在はヨーロッパは勿論アジア旅行においても、円の遣いでが少ないことにすぐ気が付く。日本より貧乏なはずのアジア諸国においても物価が日本とあまり変わらない、物によってはむしろ高いことに気が付く。

海外旅行客が増えインバウンド消費が注目されているが、外国人が日本で買い物をする理由は物価が安いからである。

海外からくれば日本の物価が安く、海外に出れば海外の物価は高い。この事実は円がもはや高くないことを示している。

日本では賃金も低いが、物価も安い、だから何とか生活できるという状況である。これは一昔前のアジア諸国と一緒である。当時彼らの通貨は安く、円換算した彼らの収入は日本と比較し驚くほど安かったが、物価も同様に安く、豊かな生活は送れないが生きていけた。

バブル崩壊直後、ドル換算で日本の賃金水準は欧米先進国と同様かそれを上回っていたが、現在では大きく下回っている。その原因は経済成長の差であるが、賃金も物価も欧米先進国を下回っているということは円が実質的な安くなったことを意味している。

円が高いと言っているのは、競争力を失った経営者とその団体だけである。彼らは自らの無能で競争に負けているのを円高だとごまかしているだけである。

もはや日本の賃金水準は先進国の中では低いのだから、円高や賃金水準を経営不振の原因にすることはできないのだが、ありもしない円高幻想を利用して自らと国民をごまかしているのにすぎない。