オリンピックの年になるはずだった2020年は新型コロナの年として歴史に刻まれることになった。多くの人々がコロナ禍の影響を受けているが、その深刻さの程度は立場によって大きく異なる。
公務員や、コロナ禍でもびくともしない大企業で雇用の保証された正社員等については感染の恐怖や外出や行動の自粛を余儀なくされるが、生活の不安を感じることはない。
同じ正社員でもコロナ禍で大きく業績の低下した企業に勤める者は、ひょっとしたらリストラされるかもしれないという恐怖を感じながら日々を過ごすことになる。
解雇や一時帰休においこまれた正社員や非正規社員については、給与が減少またはゼロになり日々の生活を預金の取り崩しで賄うことになり、日々通帳残高をにらみながらゼロにになる日を恐れてる。
事業者についても、コロナ禍で売り上げの増えているマスクや消毒液メーカーもあるが、大部分は売り上げの大幅な減少追い込まれている。しかし、同じ売り上げが減少しても内部留保が多く経営的には十分耐えられる企業とそうでない企業では全く危機感が異なる。
飲食業者に代表されるように店舗の休止を要請され、売り上げが全く上がらない一方で月々の家賃や従業員の給与等を支払わねばならない事業者は特に深刻である。日々倒産に向かって近づいている。
従業員を抱えきれず解雇せざるを得なくなった企業。廃業せざるを得なくなった企業も増加している。一旦潰れてしまえばコロナ禍が終わったからといって復活することは難しく日本経済に大きな後遺症を残すことになる。
政府は身分も報酬も安定した官僚の立場で対策を考えているが、最も追い込まれた事業者の立場に寄り添えば5月末までの自粛でもう限界である。
4月の1ケ月で徹底的な外出禁止を行い、病気を抑えその後に経済面のサポートをするのが最善の策であったが、外出禁止が中途半端であった為、十分コロナ禍を抑えることができなかった。しかし、既に多くの事業者が限界となっている為、これ以上放置できず、愚策ではあるが感染抑制と経済の二兎を狙わざるをえない。