度重なる緊急宣言とその延長にもかかわらずコロナ禍が収束しないことに怒り、菅総理の交代を主張する意見が勢いを増している。
しかし、日本がコロナ禍に対し、効果的な手をうてないのは別に菅総理が無能なからではない。誰が総理であっても現在以上効果的な手をうつことは難しい。
現に吉村大阪府知事や小池都知事をはじめ、どの県のどの知事も効果的なコロナ抑制を実現できていない。これは当事者の無能に原因を求めるよりは日本という国の政治システムに根本的な問題があると考えるのが妥当である。
そもそも日本の政治システムは不完全である。法律や制度は中途半端のまま放置されている。原発を推進しても廃棄物の最終処理は何も決められていない。憲法改正しようとしても改正手続きが定められないまま今日まで放置されてきた。自衛隊はあっても武力行使等の手続きが定められておらず、非常時が発生しても超法規的でもとらない限り、現場ではどう対応すべきかわからない。
このように日本の政治システムは不完全なまま放置されており、いざ非常時に直面した場合、どう対応したらいいかはそれから議論せざるをえない。
また、実行部隊である官僚は前例踏襲と利権維持、責任逃れに終始しており、平時なら問題が表面化しないが、いざ非常時に直面すると右往左往することしかできない。
コロナ程度ならさして問題はないが、中国の侵略やもっと致死率の高い病気、東京大震災等の致命的な災害に直面した時に、日本政府が適切な対応をできる可能性はほとんどない。
日本の政治が今すべきことは、政権交代ではなく日本の政治制度の根本的な変革である。