日本の政治は世界でも有数の非効率なシステムとなっている。何かを実行しようとしても結論を出すのに時間を要し実行に移すにはさらに時間がかかる。
これし日本の政治システムでは権限が無秩序に分散されていることによる。首相は日本の最高権力者であるが、その権力は派閥や官僚組織、地方自治体に制約され、彼らの利権を損なうことは許されていない。
同様に何か新しいことを実施しようとしても、権限が各省庁や地方自治体に分散されており、調整に多大な時間を要し、非効率である。また、前例に縛られており、この前例を廃止し新しい仕組みに変えるのに時間がかかる。
このことは東北大震災後の対応やコロナ禍に対する対策等の不備で国民の目にも明らかになっている。
第二次大戦後、二度とこんなことがおこらないようにと、日本の権力構造は徹底的に分権化された。一昔前までは日本の最高行政機関である閣議にあげる議案は事前に事務次官会議で審議されたものだけであった。さらに官僚の人事権は官僚に帰属しており、首相や大臣はどんなに意にそわない官僚であってもこれを排除することはできなかった。安倍政権になってようやく官僚の人事権を官邸が握ることに成功したのである。
変化が激しく日本が衰退しつつある現在においては、意思決定に時間がかかることは致命的である。いちいち関係機関全員に意見を回覧し全員の合意を得てから物事を決定るシステムでは動きの速い現在に対応できない。
それぞれのテーマごとに権限者を定め、他の同意がなくても彼がその分野に関しては全てを決定できることが必要である。
その仕組みを円滑に実施する為には、権力行使の過程で適切に行使されたかどうかをチェックする仕組みに加え、意思決定過程を全て開示し、その決定が正しかったかどうか後から検証する仕組みが必要なことは言うまでもない。