これには法人に対する処罰が甘いことがあげられる。日本において法人に対して科される「刑罰」は、罰金と科料のみである。アメリカでは、罰金刑のほかに、法人保護観察、被害回復命令という刑罰があるが、日本には、そのような制度はない。
法定刑の面では、法人に対する罰金の上限が一般的に低く最高額でも10億円程度にとどまっている。この額は3000億円もの罰金が発生する欧米各国の水準と比較して圧倒的に少ない。
結果的に企業の不祥事が発覚しても、その時点の経営者が(不正に関与しているかてなかに関係なく)トカケのしっぽ切のように責任をとらされるだけで、企業は何もなかったかのように次の経営者を据えて継続していく。企業体質は何ら改善しない。
企業が不正をすれば、企業そのものが大きなダメージを受け、従業員全員が数年にわたり賃金カットに追い込まれるぐらいの厳しい罰則を課し、経営者だけでなく従業員全員に不正をするとこんなことになるということを身をもって実感させることが必要である。