1ドル150円の円安になり、経済界やマスコミが円安を何とかしろと大合唱を始めている。物価が上がり国民生活が苦しくなっている。仕入れ価格が値上がりし企業業績を圧迫している。貿易収支が悪化している等々である。
日本は未だに経済回復も賃金の上昇も十分とは言えず、このまま金利を上げれば再び経済低迷と賃金低下をもたらすリスクは高い。また、アメリカほど金利を上げることは不可能なので金利上昇による円安是正効果はそれほど期待できない。
一方このまま円安を放置すればどうなるだろう。一部には1ドル200円程度まで円安になると懸念する者もあるがそれは現実的ではない。
現状でも海外と比較し日本の物価は異常に割安である。円安が今以上進むということはこの差がさらに拡大するということである。購買力平価と為替を比較すれば円は異常に割安に評価されており、この状態はいずれ修正されることになり、何もしなくても円安が是正される可能性は高い。
また、アメリカ経済がドル高の影響で失速の気配を見せている。バイデンが物価是正を経済より優先し利上げを推進しているのは、中間選挙を念頭においているからである。中間選挙が終れば次の大統領選挙に備え経済の安定を図る必要がでてくる。
そうなれば、ドル高是正に動く可能性は高く、その観点からも何もしなくても円安が是正される可能性は高い。
また、現在の円安がある程度長期化すると考えれば、海外に移転した工場を国内に戻す企業も増えてくる。円安は空洞化した日本の製造業を是正するのに有効である。