全世界的に理想主義が支持を失いつつある。環境問題の本場であるヨーロッパでも環境規制に拒否反応を示す層が増加している。地球環境の為といってもあまりにも高い電力料金は多くの国民には支持できない。
移民についても同じである。母国で生活できずヨーロッパに活路を求める移民に対し、かっては寛容であった。しかし、自分の生活が移民に脅かされる現状をみて多くの者がもはやこれ以上移民を受け入れられないと感じている。
一世代前のヨーロッパにはかっての植民地時代の蓄積があり、豊かで生活に余裕のある者が多かった。その時代には環境問題や移民問題での理想的対応を支持する者が多数派を占めていたが、格差が拡大し生活に余裕のない貧困層が増加するにつれ、高い電気代や自分の職を脅かす移民を容認できなくなった。
ヨーロッパよりはるかに貧富の格差が大きく貧困者の多いアメリカにおいては猶更である。地球温暖化に配慮したバイデンのシェールオイルの制限はガソリン代の高値をもたらし貧困層の反発をかった。移民の増加は自分の職を奪われることを恐れた元移民からも反発をかった。
理想主義は金持ちではないが生活には余裕のある中間層が多数を占める社会でないと支持を得ることはできない。