パンにかかわる人たちが怒っている。2018年度から使われる小学校1年の道徳の教科書で、教材として登場する「パン屋」が「和菓子屋」に差し替えられた。文部科学省の検定で教科書に「物言い」が付き、出版社が修正したためだ。同省は「伝統文化の尊重や郷土愛などに関する点が足りなかった」と説明する。
パンは日本伝統の食品ではないから、日本伝統の和菓子に変えるべきだという発想である。庶民感覚から見れば実にバカゲタ主張であるが、安倍政権の背後にいる戦前回帰主義者の意向を忖度する文部科学省は大真面目にそれを実施した。
戦前回帰主義者とそのシンパは、一方で日本が、中韓と異なり、世界から好かれ尊敬される国であることを事あるごとに強調している。
外国人の好きな日本はアニメがあり、国民が自由を謳歌し、日本風にアレンジされたおいいパンや様々な国の料理を自由に食べることのできる日本である。
和菓子といえども元をたどれば、中国から伝わった菓子に由来する。それが日本で独自に発展したものである。パンも同様である。代表的な日本のパンとしてあげられる「あんパン」「クリームパン」「ジャムパン」「カレーパン」等は日本で開発されたものであり、正に日本文化のたまものである。