人口減少や高齢化を背景に、都市機能を一定の範囲に集約する「コンパクトシティー」構想が広がっている。人口減少に伴い税収が減り、インフラ整備の担い手も減る中、住宅や商業施設などを集約することでコストの抑制や都市機能の維持を図る狙いだ。
一見合理的で正しい選択のように思えるが、実際のところは日本の地方が衰退し人間の住む地域を維持できなくなったということである。
日本人は長い時間をかけて動物しか住めなかった原野や森を開拓し人間が生活できる土地に変えてきたが、現在ではそれが維持できなくなり、人間の領域を再び動物の領域に返すということである。人間(といっても日本人だけのことだが)の居住地域の縮小であり、日本の衰退を象徴する出来事である。
貧困化した日本は衰退し、既に国土を維持できなくなったという現実から目を背け、過疎化対策を講じることもなく、コンパクトシティといった横文字を用いることであたかも前向きの選択であるかのように自分達をごまかしているにすぎない。
もはや日本の衰退はごまかしきれないところまできている。根本的な少子化対策も出てこず、政府にも国民にも危機感が少ないことから、後50年もすれば日本という国は世界から見捨てられた存在感の薄い国となっているだろう。