日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

文科省主導の大学改革の失敗

大学改革は今年で30年になるが、近年日本の研究開発力が落ちている。世界の主要学会誌への日本の論文の掲載数は、2000年ごろは5位以内だったが今や10位近くまで落ちた。法人化で近視眼的な成果主義が導入されたことが原因の一つである。短期で結果の出る研究にばかり予算がついた結果、基礎研究に回る予算が減少している。

 

改革は、文科省から通知や調査として現場に降ってくる。予算を握る側にこと細かに言われるうち、各大学は文科省の移行を忖度して、根拠も必要性も疑わしい改革を形式的かつ過剰なまでに実施していく。文科省は、次々に横文字の改革の小道具を現場へ下ろす。だが、成果を具体的に検証している気配はなく成果につながっていない。

 

90年に全国約9万人だった大学院生は、91年の大学審議会答申が2倍以上へ増やすよう求めると急増して、ピークの2011年は約27万人となった。

 

しかし、大学審や文科省が、院卒者の多い国で彼らがどんな社会的利益をもたらしているか、日本でどの程度、院卒者の需要が見込めるかなどを詳細に検討した形跡はない。結果は、大学院を出ても就職先のない高学歴ワーキングプアの量産かる結果となっていめが、文科省にはこの失敗の反省もない。

 

文科省の官僚中心の大学改革は明らかに失敗であり、改めて方針を見直す必要かある。このまま放置し続ければ、日本の科学技術や産業の衰退に直結する。

 

毎日新聞 大学改革30年参照