国税庁の民間給与実態統計調査(令和3年版)によると、非正規雇用者全体の平均年収は198万円(正規雇用者全体の平均年収は508万円)。そのうち男性は平均年収267万円(正社員は545万円)、女性の非正規雇用者の平均年収は162万円(正社員は302万円)しかない。これではて現代日本で普通に生活することは難しい。
2000年以降の日本経済停滞期に急速に広がった非正規雇用者で日本社会において格差が広がり始めた。企業から、いつでも契約を切れる安易さを理由に非正規雇用された若者たちは、単純作業をこなすだけで賃上げもなく、仕事上のステップアップもないまま、低賃金のまま長期の足踏みを余儀なくされ中年に至っている。
男性の非正規雇用者は、自分の所得では妻子を養うことはできないと自信と希望を失い、女性の非正規雇用者は、より人生が豊かになる結婚でなければ、しない方がマシだと考え選り好みを強め、結果的に未婚状態になる者が増加増大していった。
2000年以前も生活困窮世帯は存在した。しかし、当時は仮に現在お金がなくて貧しくても、給料は年々上がっていくし、頑張って子どもを育てていけば、我が子は少なくとも自分よりは良い生活を送れるはずだと夢を描くことができた。
しかし、今日非正規雇用者におちた者にとって、明日は今日とおなじであり、将来豊かになる可能性を夢見ることはできず、自分の子供が自分よ良い生活をおくれるという希望を描くのは難しくなっている。
しかも今では自己責任論が当たり前のように語られ、フリーターや非正規労働者にしかなれないのは、社会の責任ではなく、努力しなかった自分の責任であると評価される。