日本でも能力主義が叫ばれ、過去と比較すれば年功序列制度は崩れてきたが、未だに完全な能力主義とはほど遠い状態にある。個々の能力に応じ大幅な権限委譲を行い、判断や決断に要する時間を大幅に短縮するのが本来の能力主義の成果だが、日本の場合は中途半端な能力主義と年功序列制度が平行して実施されている為、全てにおいて中途半端であり日本衰退の原因となっている。
これを是正していくためにはまず日本の官僚の人事制度から手をつける必要がある。
外国の官僚が、官僚としての経験以外に民間の豊富な経験をもっていることが多いのに対し、日本のエリー
ト官僚のほとんどは学校卒業後官僚としての経験しか有していない。
また、外国の官僚はその能力と専門知識を評価されその地位を得ているケースが多いが、日本のエリート官僚は入省年次と同期生との狭い競争により、たまたまその地位に座っているにすぎない。
確かに日本のキャリア官僚は優秀な人材から構成されている。しかし、常識的に考えれば誰でもわかるが、先輩が後輩より常に優秀ということはありえない。
また、適材適所ではなく、出世の階段としてポストを渡り歩く制度では、能力的に大きなバラつきが生じる。
金融、貿易等、外交面だけでなく経済面においても、政治力が決定的な影響を与えるものは多い。政治力といえば政治家の問題だと思われがちだが、実際のところは事務局としての官僚の能力によるところが多い。しかし、肝心な官僚の政治力という点で日本は多くの諸外国に見劣りがする。
日本独特の年功優先の人事制度の下で、日本の官僚は視野が狭く、幅広い知識に欠けるばかりか専門的な知識においても見劣りがすることが少なくない。