その本命は給与所得控除の引き下げであり、これが実施されれば、会社員にとってかなりの負担増が予想される。
現在年収400万円の場合、給与所得控除124万円を引いた276万円が給与所得となる。ここから基礎控除47万円と社会保険控除をひいた額が課税所得となり、これに所得税や住民税約25万円程度がかかる。さらに年金や健康保険料金が差し引かれる。給与所得控除が減ればその分課税所得が増加し所得税や住民税が増加し手取りは減少する。
会社員として働く場合、スーツ代や通信費用、勉強するための費用などが必要となり、給与所得控除は自営業者などの必要経費に対応するものと定義されている。政府税調の調査では、会社員の必要経費は収入の約3%に過ぎず、給与所得控除を収入の3割程度で設定するのは多すぎるというのが税調の理屈である。
もし給与所得の減額が実施されれば、サラリーマンの手取りは大幅に減少し生活苦はさらに増加する。また、給与所得控除が減額されれば、それにつれ年金生活者の年金控除も減額される。
給与所得控除を必要経費と位置付けるのは実態にあっていない。むしろ最低限の生活をおくるのに必要な額と定義するのが現実的である。
最低限の生活を送るのに必要な額を月13万円程度と定義すれば年額156万円までは給与所得控除額としそれを超える額から税金や社会保険料を支払うというように変更するのが合理的である。