そもそも拉致問題自体は拉致事件が発生した当時、それを否定し捜査すらしようとしなかった警察の落ち度でありイコール日本政府の落ち度であったことは間違いない。しかし、小泉内閣の訪朝による一時帰国以降、未だに生存する拉致被害者が多数残っているとは考えにくい。
北朝鮮の立場から見れば、拉致被害者を全員返すというカードを切ることは外交的に大きな効果が期待される。しかし、それをしないということはできないのだろう。理由は簡単で少なからぬ部分が既に死んでおり、生存者を返すことで、死亡者の数が明確になることがかえって外交上マイナスになるからである。北朝鮮では経済的社会的な混乱で多くの国民が餓死したり収容所で死んでいる。その中に拉致被害者が含まれていても何ら不思議はない。
前回、他人の骨を使ってまで死亡を納得させようとしたことは、生存を意味するよりは、北朝鮮政府自体がどこで死んだかも把握できていない、と考える方が妥当である。
日本はあくまでも欧米諸国との一体的な外交を貫徹すべきであり、鼻の先にぶら下げられた北方領土でロシアに振り回されるべきではない。