日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

デジタル化を進める爲には強力な権力で官僚の抵抗を排除することが必要

菅政権の目玉政策の一つであるデジタル庁が設立でき想定しているような機能を発揮できるかとうかは、菅政権が官僚の抵抗をどれだけ排除できるかにかかっている。

 

官庁のデジタル化を進めれば当然必要なくなる仕事もでてくる。仕事が必要なくなれば当然それに従事している公務員も不要になる。しかし、現状ではそれらの公務員をクビにすることはできず配置転換することになる。

 

少しのデジタル化であれば、配置転換する範囲も人数も少なくてすむが、大規模なデジタル化で合理化を図ろうとするとそれだけ移動する人数も範囲も広くなる。

 

これは公務員にとっては大きな負担であり不安材料となる。一般企業のデシタル化では常に抵抗が発生するが、官庁の場合はより一層強い抵抗が予想される。

 

また、官僚の権力の源泉は規定を個々の役人がどう解釈するかというところにあり、それには人手で行い個々の官僚の裁量を働かせる余地が不可欠である。

 

デジタル化により、それらが自動的に処理されるようになると、官僚が裁量権を発揮する余地が減少する。官僚が裁量権を発揮する為には、例え非効率であっても人手の介入余地が必要だからである。

 

この意味でも、徹底的なデジタル化には官僚側からの抵抗が予想される。デジタル庁が投資に見合う成果を上げるためには、官僚の裁量権に斟酌することなく、合理化を徹底的に追求しなければならず、その為には権力をもって官僚の抵抗を排除することが不可欠である。

 

意味不明な池田信夫氏の法人税を廃止し消費税に一本化するという提案

池田氏マイクロソフト ニュースでベーシックインカムの財源は消費税で出せるという記事を載せている。ベーシックインカムとして一人5.5万円支払うこととし、その財源として社会保障を減らし消費税を増税して賄うというものである。

 

月5.5万円では生活は困難ということもあるが、増税社会保障の減額により、自力で何とか生活できている層を国にもたれかかった国民に堕落させかねず、自立した国民が国家の主権者である民主主義の根幹を揺るがせかねない。

 

また、その文書の中に「利益に課税する法人所得税をやめ、消費税に一本化するのだ。これで海外法人に利益を移転しても、国内で消費すると課税できる。ほとんど法人税を払っていない中小企業も同じ税率を払うので、実効税率は上がる。」という文言がある。

 

この文言からは「法人税を廃止しても、消費税を上げれば法人からも同じだけの税金がとれる」というニュアンスにとれる。

 

しかし、法人は受け取った消費税から支払った消費税を控除した残りを納税すればよく、実質的には納税負担は無く、増税しても法人からの税収増は発生しない。さらに輸出業者は輸出分の消費税を還付されており、法人税を廃止し消費税を増税しても法人からの実行税率は上がらない。

 

法人の消費税の計算方法をかえない限り、池田氏の主張は間違っていると言わざるをえない。

 

池田氏の原文



キャッシュレスに伴う詐欺を完全に防ぐことは不可能、不必要に手続きを煩雑にすべきではない

d払いだけでなくpaypayや他のキャッシュレスでも不正支払いが発生している。これに対し手続きの厳格化が検討されているが、あまり複雑化してしまうと利用しなくくなり日本だけがキャッシュレス分野で大きな後れをとることになる。

 

そもそも今回のd払いでのドコモの対応は弁解の余地はない。誰でも自由に作れるメールアドレスだけで口座が作れるなどは悪意というものを想像もしていないセキュリティオンチである。こんな企業が日本のモバイル分野のトップ企業とは情けない限りである。

 

一方ゆうちょ銀行や地銀もお粗末である。氏名と口座番号、4桁の暗証番号、住所、生年月日だけで簡単にd口座と紐づけてしまう。4桁の暗証番号はともかく他の情報は闇ルートで手に入るものである。また4桁という短い暗証番号はキャッシュカード現物と併せてセキュリティを維持できるものであり、それだけではセキュリティ機能が弱くその気になれば容易に破られる。

 

最低限ワンタイムパスワードの利用は必要だろう。しかし、それですべてが防げるわけではない。例えばSBI証券のケースなどはプロの犯罪者によるものであり、防止はかなり困難となる。

 

SBI証券はIDと二つのパスワードを使用しており、これを総当たり方式で解読することは事実上不可能である。ところがこれらのIDとパスワードが奪われ、本人名義の偽造口座に資金が送金され金が奪われた。

 

偽造口座はゆうちょ銀行と三菱UFJ銀行で作られている。ゆうちょ銀行はともかく三菱UFJ銀行は最も信頼性の高い銀行であるが、それでも偽造書類で偽口座がつくられている。

 

IDやパスワードはおそらく本人のパソコンにウイルスを仕込み直接盗んだか、SB証券の偽ホームページに誘導して盗んだと想像されるが、ウイルス対策ソフトでは防げないウイルスも多く、ターゲットになれば防ぐことは難しい。

 

これを徹底的に防止しようとすれば、事実上ネットやキャッシュレスのメリットが失われることになる。最低限必要なセキャリティを用い、それでも発生する犯罪については業者が全額補償するという対応をとるのが現実的である。

菅総理には政治主導を徹底してほしい

菅氏が大差で自民党総裁に選ばれた。この結果については例によってマスコミでは派閥均衡政治になり期待できないとか、モリカケやさくら問題があいまいになるとか、いろいろ言われている。

 

しかし、菅氏にもっとも期待したいのは官僚利権の排除である。よく日本の政治を表す時に縦割行政が指摘されるのは、官僚が自省の利益を最優先しその利権を失うことをなによりも嫌うからである。

 

その結果、日本の行政は不合理で効率が悪く国民には利用しずらいものとなっている。それが日本企業が新事業分野で海外に遅れをとった要因の一つである。

 

菅総裁は自らも官僚の縦割り行政の排除をうたっており、官邸主導の官僚人事が可能となったことと相まって官僚利権と既得権排除の徹底を期待したい。

 

内閣人事局については官僚の官邸への忖度等問題点が指摘されるが、利権を維持する為の官僚の独善的な行政と比べれば些事であり、政治主導を徹底し次々と官僚利権と既得権に手をいれることを期待したい。

少子高齢化で社会保障費が増加するから消費税増税が必要という間違った常識

菅氏が昨日のテレビで将来的に消費税増税はありうるとの見解を示したのにはがっかりした。岸田氏だけではなく経済第一を唱える菅氏でもごく当たり前にそう主張するほど自民党内への財務省の洗脳は浸透しているようだ。

 

少子高齢化でこれからも社会保障費が急増する。これを賄う為の財源として消費税増税が必要となる。一見正しく説得力がある。しかし肝心なところで見落としがある。

 

菅氏は少子高齢化の克服は難しいと主張したが、ここにはこのまま少子化が進み日本の人口減を放置しても日本は維持できるのか、という最も根本的な問題への考察が欠けている。このまま人口減を放置すれば日本はますます衰退しアジアの落ちこぼれとなることは明白であり、現在の世界の中での日本の立場を維持する為には移民か出生率の増加のいずれかの方法で少子化解消が不可欠である。

 

社会保障費が急激に増加するのは、団塊世代が75歳以上となった時期からであり、これを消費税増税で賄うということは、歴史的な人口構成の問題を現役世代の負担増だけで解決を図ろうとするものである。これは事実上不可能である。人口増の政策を徹底する一方で20年から50年程度の期間の異なる長期国債を発行して不足分をカバーし、100年程度の時間をかけて解消すべき大きな問題である。

 

日本の財政悪化のもう一つの原因は経済不振である。社会保障財源の不足がこれほど深刻化したのは25年以上も日本経済が成長しなかったことにある。中国やアメリカほどの成長は無理でも、せめてヨーロッパ並みに2倍程度成長していれば、これほど財源不足は深刻化しなかった。

 

日本経済低迷の最大の原因は消費税増税と国民負担政策である。これにより国民が自分の将来に不安を感じ消費を抑え貯蓄に走ったことが、非正規社員の拡大による貧困層の増加と相まって個人消費を縮小させた。一方企業経営者は目先の消費停滞と将来の少子化進行に怯え、日本の将来に絶望し国内への投資を縮小させた。

 

確実に断言できるのは、消費税をどんなに増税しても少子高齢化に起因する社会保障費の増加は賄えず、消費税を増税すればするだけ国民の財布の紐は固く結ばれ日本経済は縮小し、税金は思うほど増加せず経済と財政の両方が悪化し日本の衰退が加速されることである。

ドコモのような企業が簡単に不正利用される日本企業のデジタル化の危うさ

ドコモ口座の不正利用が注目を集めている。NTTドコモは2020年8月8日までに両銀行を含む3金融機関の新規登録を停止。その後、同様の懸念があるとして14金融機関の登録を停止した。

 

この原因はドコモ口座がメールアドレスだけで作成でき、銀行との紐付けも口座番号と暗証番号だけでできることにあると報道されている。

 

利用者を増やすことに重点がおかれセキュリティの視点が全く欠けている。地銀はともかくNTTドコモと言えば日本でもデジタル分野の先進企業の一つであると思われてきた。それがこのていたらくである。

 

ここで思い出したのは過去のセブンペイをめぐるトラブルである。鳴り物入りで登場したセブンペイはわずか4日でハッキングされサービス停止に追い込まれた。

 

この時発覚したのが会見に臨んだ同社トップが、セキュリティについてほとんど知識を持っていないことが明らかになったことである。

 

セブンイレブンと言えばコンビニ分野に様々なIT技術を持ち込んだIT分野の先進企業と思われていたが、この事件ですっかり化けの皮がはがれてしまった。

 

NTTドコモも同様である。決定権のある者に少しでもセキュリティの知識があれば、こんな事件は発生しなかったはずである。

 

日本社会全体のデシタル化の遅れは明白になったが、特にセキュリティ分野においては穴が大きい。

日本がデジタル後進国である簡単な理由

コロナ禍で日本のデシタル分野の遅れが白日の下にさらされたことで、政府もあわててデシタル化を推進しようとしている。しかし、それは難しそうである。

 

そもそもデシタル革命が始まってから相当の時間がたつが、日本のデシタル化が進まなかったのにはそれなりの理由がある。

 

私が最初にデジタル化に着手したのはパソコンがようやくネットにつながり始めた頃であったが、社長にデジタル化を進めたが賛同を得られなかった。デジタル化の省力化効果については社長も理解していたが、それ自体が社長がデシタル化を導入したがらない理由であった。金をかけて10人でやっている仕事が4人できるようになっても6人を首にすることはできず、コストは減らないというのが社長の主張であった。
結果的に省力化以外のデシタル化効果と余剰人員の活用方法を提案することでようやくデジタル化に同意を得られた。

 

また、仕事を効率化するには、仕事の目的や効果に悪影響を与えない範囲で仕事の仕方をデジタル技術に合わせて変更することが必要である。しかし、大抵の職場では既存の仕事内容をそのままデジタル技術で補完する形でのデジタル化に留まることが多い。デジタル化の為に仕事内容を変更するのは本末転倒だとの反発があるからである。

 

また、日本では情報部門の地位が低いことが多く、経営者や各部門の責任者は情報部門を経験せず基本的なデジタル知識を持っていない。情報部門は特殊分野の専門家としての位置づけに留まっており、経営戦略に参画することも少ない。その結果企業の経営戦略立案過程においてデジタル化の要素がすっぼりと抜けている。企業は勿論官僚組織も同様であり、日本でデジタル化が遅れる原因となっている。

 

日本のようにデジタル分野の知識に乏しい調整型のリーダーが動かす組織とアメリカのようにし自身がデジタル分野の専門知識を持ちそれを武器に経営をしてきたリーダーが動かす組織ではデジタル化の質や量に差があるのは当然である。