例えば、親や子供が犯罪や事故に巻き込まれ死亡した場合、遺族の怒りと悲しみはとても大きく、家族の命を金銭に換算することなどとてもできない。
また、かって日本赤軍のダッカ日航機ハイジャック事件の時に当時の福田赳夫総理大臣が「一人の生命は地球より重い」と言って超法規的措置をとった。
しかし、現在においては福田氏と同様の考えを持つ者は少数派となっている。
それでは日本では人の命はどの程度とみなされているのて゜あろうか?
ものの価格を調べるには取引事例で調べるのが一般的である。商品の小売価格は小売店での販売価格を見ればわかるし、不動産の価格も売買事例で把握できる。
命の値段も同様に考えると、最も頻度が高いのは交通事故の事例である。
交通事故の死亡事故の場合に遺族が保険会社に請求できる項目は、葬儀関係費、死ぬまでの治療費、逸失利益、弁護士費用、慰謝料である。
このうち慰謝料以外はケースバイケースで異なるものであり命の値段とは言えない。
誰にも共通する命の値段は慰謝料部分だけである。
この値段は概ね決まっており、実際のところ被害者が一家の柱の場合で2800万円、被害者が母親や配偶者の場合で2500万円、その他2000万円から2500万円程度というのが一般的である。
とすれば、日本での命の値段は2000万円から3000万円というのが相場である。案外安いというのが大方の印象だろうが、実際はその程度の価値しん認められていないのが日本の実態である。