前田氏は年功序列や職種間の縦割りの解消などを目的に新たな施策を導入したが、退任から約半年で路線転換が図られることになった。
目的自体は間違っていないが手段を間違うという日本企業にはよくあるパターーンである。日本企業が能力主義の人事制度に失敗する最大の原因は従業員の能力を客観的に判断できないことにある。
前田氏が導入したのは、「年功序列の解消などを目的に、管理職登用の選抜試験を導入。50代が多かった地方放送局長に40代の職員が就くなど、若手や中堅の抜てきを進めた。また、50代の職員を対象に早期退職者を募集し、再就職を支援。一定の年齢に達すれば管理職から外す役職定年制も導入した。」
まず、試験で選抜するという発想自体が間違っている。試験では管理職としての基礎的能力があるか否かはある程度判断できたとしても、管理職として有能であるか否かは判断できず、不適格な人材を管理職に登用する間違いを犯しやすい。管理職として有能か否かは仕事の中で判断できるシステムを作らないと失敗する。
また、一律に年齢で判断し若い者を登用し、それ以上の者は管理職からはずす、といのは年功序列と何ら変わりはない。失敗するのは当然である。
日本企業のほとんどに共通することだが、仕事の仕方、成果、部下の育成等を客観的に見てその者の能力を判断するシステムがなく、優秀な素質のある人材を採用してもその能力わ活かしきれず埋もれさしている。
日本の大企業は人材の墓場でもある。