日本では年齢差別が常態化している。しかし、あまりにも当然のことのように差別が横行しているので、当の高齢者でさえ疑問に感じず差別を受けることに甘んじている。
運転免許更新で高齢者にだけ別の試験を課すのも差別である。しかし、高齢者も含め大部分の国民はそれを疑問に思わない。
高齢になれば注意力や判断力が劣る。しかも最近は高齢者の自動車事故が多いから、防止の為にも特別な試験を課すのは当然だと考えている。
昔は女性は弱いものだから男性と同じことはさせられない、という口実で様々な女性差別が正当化されてきた。高齢者は能力が劣るから特別な対応が必要とすることはそれと同じ差別である。
女性や高齢者を全て同じようにレッテル貼りすることから差別が生まれる。高齢者が免許更新に必要とされる試験があるなら、その試験は全免許更新者に課すべきである。高齢者でない者の中に運転不適格者がいない、ということはありえないからである。
まだ私は高齢者講習を受けるには相当時間があるが、受けることになれば憲法違反で訴訟を提起するつもりである。
また、一律に年齢で退職や管理職定年をせまる日本の雇用慣行は明確に年齢差別である。この慣行の為に十分能力があり成果を上げている人材が職を奪われることになる。
定年後再就職するにしても、本人の意に沿わず能力も発揮できないような仕事しかない。このことは本人だけでなく日本社会全体にとって損失である。
長年の自民党政府の失策により、日本の高齢化は深刻なものとなり将来的には今以上に労働力の不足が深刻化する。
この対策として政府は女性を労働市場に投入しようとしているが、これは却って少子化を悪化させる。
日本が力を入れるべきなのは、年齢差別を廃止し60歳以上の元気で有能な人材に能力を発揮する場を提供できるような社会的仕組みを構築することである。
これができなければ、日本は少子高齢化の嵐に飲み込まれ沈没することになる。
トルコで16日、大統領権限拡大の是非を問う国民投票があり、レジェプ・エルドアン大統領が僅差で勝利した。
憲法の改正によって、今後、首相職は廃止され、大統領が閣僚の任命や非常事態令の発令の権限のほか司法にも影響力をもち、絶大な権力を握ることになり、トルコの政治体制は根本的に変わってしまう。
しかし、賛成票が51.4%に対し反対票の48.6%とその差は僅差であり、憲法改正に反対してきた野党側は、選挙管理委員会が無効票を有効とする違法な決定をしたとして票の数え直しを要求している。
開票結果に違法な決定があったか否かはわからないが、反対派は結局納得せずエルドアン政権に対し対決姿勢を継続することになり、今後のトルコの政情不安を予感させる。
国家の体制を根本的に変えるような変更を国民投票で決定するには過半数では不十分である。今回のトルコのように僅差だと不正疑惑が必ず発生し反対派は結果を受け入れず社会的な混乱を助長する。
最低でも55%以上の賛成が必要である。このぐらい差が開くと不正疑惑を抱きにくく、反対派であってもその多くは国民投票の結果を活けいれざるをえなくなる。
日本の憲法改正においても、国会での投票は2/3でなく過半数でも良いが、国民投票では55%以上の賛成があって初めて憲法改正を可能とすべきである。