日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

雇用の延長には賛成だが、企業に継続雇用を義務化するのではなく定年制度を廃止すべき

政府は15日、「未来投資会議」を開き、働きたい高齢者に対し70歳までの雇用確保を企業に求める具体的な方針を示した。労働政策審議会の審議を経て、雇用期間を70歳まで引き上げることを柱にした高年齢者雇用安定法改正案を来年の通常国会に提出する。

 

高齢者人口が日本国民の1/3に達することが見込まれており、高齢者が現役の労働者として働ける環境を整備することは当然のことである。

 

しかし、方法には異論がある。能力の有無に関係なく70歳まで雇用を義務づけることにすれば、企業の競争力を削ぐだけではなく、高齢労働者に一律に低賃金を強制することにもなる。

 

方法としては定年制度そのものを廃止すべきである。米国は1967年に成立した年齢差別禁止法で、雇用の場での年齢による差別を禁じた。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでも定年は廃止済みである。

 

能力の有無に関係なく年齢で一律に処遇を決める定年制度は明らかに年齢差別である。能力の有無に基づき雇用の継続や適切な仕事を与えるのがあるべき姿である。

 

定年制が無くなれば、解雇する場合は能力の有無を問題とする必要があるが、裁判で解雇や配置転換の正当性を主張できるだけの緻密な評価制度が無いとそれは難しい。

 

客観的な評価制度が無いことは日本企業に共通する欠点だが、定年制を廃止すれば企業には客観的な人事評価制度を整備する必要が生じる。

 

国と企業が一体となり、客観的な人事評価制度を整備することは、企業にとってだけでなく労働者や国家にとっても大きな利益となる。