蒲島郁夫知事は5日、報道陣に「ダムによらない治水を12年間でできなかったことが非常に悔やまれる」と語った。これは最悪である。
これ自体は別に間違いではない。問題はその後ダムによらない治水について何ら対策をうたなかったことである。
ダムを中止したのは、水害で被害が出るよりも流域の自然保護が重要だと判断したからではない。ダム以外の方法で治水が可能だと判断したからである。
だから、ダムの中止が決定すれば直ちにダムによらない治水事業を開始せねばならない。しかし国や県は流域市町村でダムによらない治水を検討する場を設けてきたが、多額の資金が必要ということもあって12年間何もせず放置してきた。
今回の災害は自然災害というよりは完全に人災である。知事が最大の責任者であることは言うまでもないが、ダムに反対した流域市町村も同罪である。勿論罪はダムに反対したことではなく、その後ダムによらない治水事業が進まないのを放置していたことである。