東芝は2015年に不正会計問題が発覚して以降、迷走が続く。17年3月末には米原発事業の損失で負債が資産を上回る債務超過に陥った。東芝は2年連続の債務超過による上場廃止を避けるため、約6000億円の巨額増資を実施。増資を引き受けた海外ファンドは、大胆な株主還元などを求めて東芝側と激しく対立した。
再出発を目指す東芝の現状は厳しい。既に医療機器事業や半導体メモリー事業を売却。14年度に6兆6558億円だった連結売上高は21年度には3兆3369億円と半分に縮小した。 東芝は主力のインフラ関連事業などに経営資源を集中させるほか、データを活用した新サービスにも注力して巻き返しを図る。そのためにも、非上場化で企業統治を抜本的に見直し、経営体制を安定させる考えだ。
東芝のサラリーマン経営者は不正会計を引き継ぎ発覚するまで隠し続けた。一方経産省は東芝が原子力等日本経済や安全保障面で占める重要な役割を理解していたにも関わらず、わずか6000億円の支援を行わなかった為に海外投資ファンドの跋扈を許し今に至る混乱をもたらすことになった。