日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

購買力が回復しないまま円安の終わりが近づき、日本経済は復活できるか

30年間に及ぶ日本経済停滞の最大の要因は政府の政策失敗によるところが大きいが、日本企業の経営政策にも大きな原因があった。バブル崩壊後に『より高い付加価値の商品を高い値段で売る』のではなく、『商品のコストを削って安く売る』という形の競争しかできなかったことである。

 

多くの企業がコスト削減のために、どんどん人件費の安い国外に生産拠点を移し、国内への設備投資や雇用は減り、円安で輸出企業は儲かっても、その利益は海外での再投資に回されて国内の賃金に反映されず、実質賃金が下がり続けた。

 

その結果、国内の消費が伸びずに内需が冷えるという悪循環が続き、日本経済はデフレに陥り30年間も停滞し続けることになった。

 

現在はエネルギーや原材料の高騰に円安も重なり、値上げせざるをえない状況が起きたことで、モノの値段が一気に上がり始めました。それにより消費者の意識が大きく変わり将来もっと値上がりするだろうから今のうちに買っておこうという心理が働いて消費全体が押し上げられデフレが解消された。

 

しかし、この好循環が継続するには消費者の購買力が増すことが不可欠であり、岸田政権は大幅な賃上げを実現することでこの景気を維持しようとしている。

 

しかし、賃上げを実現できたのは一部の大手企業だけで、日本の雇用の大部分を占める下請けなどの中小企業は、円安による原材料のコスト高を価格に転嫁できず、賃上げどころではない。また、2300万世帯に及ぶ年金生活者はむしろ年金が減額されている。

 

企業体質は未だに大きく改善はされておらず、購買力が回復しないまま再び円高方向に動くことになれば再びデフレ傾向に陥ることは避けられない。如何にして消費者の購買力を維持するか、岸田総理の手腕の見せ所である。