日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

不必要で煩雑な規制が企業犯罪の温床となる。

日本を代表する産業である自動車産業で数々の不正が発覚している。世界で日本の外貨稼ぎ頭である自動車産業への不信感が高まれば日本経済にとって大きなダメージで
ある。

 

これらの事件に対しては、風通しが悪く、法律よりも企業内部の風潮を重視する日本企業独特の体質が原因
であるが、もう一つの原因である官庁の無責任体質を忘れてはいけない。

 

官庁はどこでもそうだが、規制を定め企業に対しその規制を遵守するよう要求する。しかし、多くの場合規制内容は重箱の隅をつつくような内容となっており、コストや手間、事業面でその通り遵守するのが困難な内容となっている。

 

その結果企業側は融通をきかせてその規制をクリヤーすることになり、規制官庁はそれを薄々知りながらも問題が表面化しない限り、それを黙認することになる。

 

規制に対しては数年に一度の検査が実施されることも多いが、検査官の能力や不正発見意欲はそれほど高くなく、多くの場合はささいな不備を指摘するだけに留まり、大問題になるような大きな不備や不正が発見
されることはない。

 

日本のあらゆる分野で、実施困難、あるいはコストばかりかかる規制が大量につくられるのは、企業側がそ
の規制を回避する工夫を自主的に行い、規制官庁がそれを黙認しているからである。

 

今回のダイハツのケースでも規制の条件は満たしていなかったが、運行には問題ないとして比較的短期間にダイハツ車の製造再開が認められている。

 

なあなあ文化の日本では、官庁は現実的ではないが理論的には批判されない完璧な規制を作り、企業は実際的に運用可能なようにその規制を勝手に解釈して運用する。官庁はその企業の勝手な運用を問題が表面化しない限り黙認している。

 

企業の責任は勿論重大であるが、不必要で煩雑な規制を作る官庁の責任はより重い。

狙い撃ちされる専業主婦、次は主婦年金の廃止

2023年10月1日に放送された番組にて、武見厚生労働大臣が「主婦(主夫)年金の見直しの必要性」に触れたため、主婦年金が廃止になるのではないかと話題になっている。

 

主婦年金とは国民年金の1つである第3号被保険者の年金を指し、サラリーマンや公務員の第2号被保険者に扶養されている配偶者で原則年収が130万円未満の人が対象となり、自己負担なしで国民年金に加入できる。

 

厚労省財務省は労働力不足や年金財政の不足を解消するためにも、より幅広い層から社会保障費を徴収する必要があると主張しており、主婦年金は、早ければ2025年には廃止となる可能性がある。

 

主婦年金が廃止になると年間19万円程度の国民健康保険料を負担する必要が生じ、それだけ可処分所得が減ることになる。

 

主婦年金は、育児や介護などで働けない人の社会的なセーフネットの役割もある。また、専業主婦家庭やパート家庭の負担が増えることは個人消費の減少要因でありGDPの成長にマイナスになるだけでなく、子供を産み育てようという意欲を削ぎ少子化対策にもマイナス要因となる。

 

働く女性の間にある不公平感を煽り、それを原動力に国民負担を増やそうとする官僚の思惑に踊らされ、女性を低賃金労働者として労働市場にでていかざるを得ないようにする官僚と経済団体の謀略が実現するのも間近である。

 

短期的な経済界の都合や目先の財源不足で主婦年金を廃止することは、長期的な見れば少子化進行での日本の衰退を避けられないものにするだろう。



配偶者控除を廃止、女性を労働市場に追い出す愚策

新藤義孝経済再生担当相の懇談会「経済財政検討ユニット」は配偶者がいる納税者の税負担を軽くする「配偶者控除」を抜本的に見直し、女性の就労を促すことも提案した。

 

少子高齢化による労働力不足に対応し、女性を低賃金労働者として労働市場に引っ張り出す為の提案であるが、明らかにムチの政策である。

 

配偶者控除を減らすことで専業主婦や短時間パートの主婦家庭の手取りを減らし、もっと長時間働かざるをえないように追い込む政策である。

 

新たに主婦が働ける仕事は低賃金の単純労働であり、これらの労働力を提供することは企業のDX化への意欲を阻害するものである。

 

海外の企業がさらなるDX化で合理化を進めているのに対し、低賃金の主婦労働でカバーしようというのは経済政略としては愚策である。さらに、少子化を考えればむしろ専業主婦家庭は保護されるべきであり、それをムチうって労働市場に駆り出す政策は少子化対策的にも愚策としか言いようがない。

高齢化社会の日本が活性化するには高齢者が楽しく働ける環境作りが必要

日本のGDPがドイツに抜かれ、さらにインドにも抜かれ世界第5位に低下した。一時的な円安が原因だとしているが、円安が是正されたとしても再逆転は難しいだろう。

 

少子高齢化で人口が減少している日本がかっての繁栄を取り戻す方法は二つしかない。

 

長期的には人口を増やすことである。口だけでない本当の異次元対策で少子化解消をするか、移民を完全に自由化し人口を増やすか、いずれかの政策をとらない限り長期的な日本の衰退は避けられない。政府が主導し国民投票で「育児税等の増税を覚悟して日本人の人口増を目指すか」「移民を自由化し多民族国家へと変貌するか」を国民投票で決することである。

 

短期的には元気な高齢者に戦力として働いてもらうことである。その方法は今政府が行おうとしているように、年金だけでは生活できないような追い込んで働かざるをえないようにする方法ではない。

 

高齢者が自分にあった仕事を見つけ、よろこんで働くようにすることである。現在の定年延長では働かない高齢者をつくるだけである。

 

実際のところ年収1000万円あっても60歳をすぎれば役職定年で年収300万円程度まで減額される例もマレではない。これでは働いていても生産的な働きは期待できない。

 

年齢に関係なく、能力に見合った仕事と賃金を提供できないと高齢者を戦力化することはできない。日本では高齢者に能力に応じた仕事を提供する仕組みができていない。

 

仮に年金で生活できたとしても、65歳で定年し平均寿命までの15年から20年の間何もしないでいるのは楽しいことではない。何か自分の得意なことで社会のために働きたいと考えている高齢者は少なくない。しかし、現実は高齢者の仕事としてはあまり魅力の無い仕事に限られている。

 

高齢化が人口の三分の一を占める日本ではこのミスマッチをなくさない限り、人口が致命的に減るはるか以前に日本は急速に衰退することになるだろう。

日本は法律や規制の見直しが必要

日本社会では政治や法律だけでなく様々な制度が現実に適合できなくなっている。しかし、与党は勿論野党もそれを改善しようとしていない。

 

コロナ禍でようやく日本が遅れた国であることが国民の目にも明らかになった。特にDX化の遅れが指摘されているが、これは単に技術面の問題というよりは日本に内在する制度全般の問題である。

 

多くの業界で利権集団と官僚の規制により、海外で利用されている技術や薬品、事業が国内で実施できない。この結果、新しい事業分野での日本の遅れが拡大している。海外で使えても日本で使えない薬品やライドシェアー事業などはその一例である。

 

また、日本では自称人権派を中心に、プライバシーが侵害されるとの大義名分の下で、行政事務の効率化に反対する声が大きく、せっかく多額の税金を投入してマイナンバー制度を作っても全く行政の効率化につながっていない。

 

日本の制度疲労はこれだけではない。相続制度の不備から日本国内では利用できない土地や家屋が急増している。国土の有効利用という観点から見てこれは大きな損失である。

安全保障面においても同様である。多額の予算を軍事費用に費やしているが、法制度の遅れからその高価な武器は実際の安全保障には使えない。

今の日本にとって何が必要で、それを実施する為にはどのような法律や制度が邪魔でどう改善すべきなのか、衰退しつつある日本国は今こそすべての法律や規制を見直して改善すべきである。

あえて非正規を選択する若者へ

正規雇用をあえて選ぶ若者が増加中という総務省調査結果がある。25~34歳を対象に、非正規の働き方を前向きな理由(例えば「都合の良い時間に働きたい」など)で選択する人が、10年前の調査より14万人増えて73万人に上っているという。

 

非正規労働が感をされた当時、非正規の働き方には時間が自由であるとか、意に沿わない転勤がない。企業の都合で意に沿わない仕事につかされることがなく得意な分野で勝負できる等々のメリットが強調され、敢えて非正規を選択する学生も多かった。

 

当時は就職は売手市場であり、いつでも仕事を見つけることができるという環境も学生の意識に大きく影響していた。その点では今日とやや似ているように思える。

 

しかし、その後の就職氷河期により環境は一変し、非正規と正規の賃金や労働環境には大きな格差が生じ、今日の日本の貧困化の元凶となった。

 

今は確かに売手市場であり、人手不足を受けて非正規でもある程度は稼げる環境かもしれない。しかし、人手不足の後には必ず就職氷河期がくる。その時企業のリストラ対象となるのは非正規の雇用者であることは忘れてはいけない。

 

非正規労働からスタートするとしても、自分は何をしたいのかを良く考え専門的知識や技術を磨く努力を怠っていると年齢を経るにつれ厳しい状況に追い込まれることを良く理解して非正規の道を選ぶべきである。

国民の嫉妬を煽り国民負担を増やす官僚勢力

官僚勢力が国民負担を増加させようとするときの常套手段が国民の嫉妬心を煽る戦略である。専業主婦に対するワーキングウーマン、高齢者に対する若者の嫉妬心を刺激するのは社会制度の改悪と国民負担増加の意図がその裏にある。

 

そして、その手先となっているのが新聞やテレビ等のマスコミである。財務省の意向を反映した記事が多いと噂されることの多い日経グループなどは特にその傾向が強い。

 

年金に関する過去の記事などをみれば、「高齢者の年金などを賄うための借金のツケを若い世代が負っている」「高齢者がもらえる年金額が今の若い世代が受給年齢に達した時より多い」等々、若者と高齢者の対立を助長するようなアンケート結果を報じている。

 

元々年金制度は現役世代の年金保険料で高齢者の年金を負担するように設計されている。現在の高齢者はその年金額で親世代を養ってきたのであり、現在若者世代の年金保険料で保険金を受け取っていても何ら批判される筋合いはないのだが、そのあたりは協調されず、不公平で若者層に不満があることが強調される。

 

元々、若い時に積立てた年金を高齢になってから受け取る仕組みであればこんな問題は発生しないのだが、そのあたりの官僚の過去の政策ミスが追及されることはない。

 

結局のところ、少子高齢化も低金利による年金財政の危機も、全ては政府の失政が原因である。政府はマスコミを総動員し若者の不満を高齢者に向け、失政の責任を逃れ返す刀で社会保障制度の改悪を実施しようとしているにすぎない。

 

以前はサラリーマン主婦の国民年金負担ゼロ問題が不公平として働く女性の嫉妬を煽ってきたが、最近では所得の壁問題にすり替え、年金負担の拡大を図っている。

 

いずれにせよ、政府やマスコミに踊らされ、高齢者や専業主婦を不公平だと批判しても、結局は利用され自らの負担を増やすだけということを忘れてはならない。