彼等は、給与控除や年金控除は本来、「働いて稼ぐのにいろいろと経費がかかるから、その経費を概算で収入から差し引いて所得税の負担を軽減する」のが本来の目的である、という建前を強調し、給与所得については、実際には給与所得控除の額も必要経費はかからない。だからこれを削減する。
年金所得控除に対しては、働きにいかないのだから経費は必要としない、として大幅な削減を目論んでいる。
しかし、そもそも大正時代に発足した給与所得控除は必要経費の概算控除を目的としたものではなかった。
現在の給与所得控除の枠組みが作られた1974年以降、必要経費の概算控除という性格が強調されたが、その当時でも「給与所得者の間における所得税の負担感は、依然として解消したとはいえず、引続きサラリーマン減税を推進する必要がある」という観点が強調された。
そもそも給与所得控除は、自営業者が自宅や車、食事に至るまで事業用と言う名目で必要経費化できることとの所得間の不公平を解消すると同時に、加重な税負担を回避することが主目的であり、必要経費の概算控除というのは理論上の名目にすぎなかった。
これは、年金額が給与と比較して少額である為、控除を増やすことで老後の生活を安定させる目的があった。
元々、年金は本人の給与からの積立額と会社の給与の一部としての負担から成り立つものであり、そもそも預金元本の取り崩し同様のものを所得とみなすこと自体がおかしいことである。
元々、サラリーマン層だけをとれば、厚生年金部分は勿論、国民年金部分と言われる部分についても、国の税金は必要とせず、労働者と起業の積立部分とその利息だけで賄えるものであった。