日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

マクロ経済スライド適用による年金減額は日本の衰退を早める

マクロ経済スライド」が2年連続で発動され、2020年度の年金支給額が実質0・3%減となることが分かった。安倍政権の7年間の合計では実質6・4%減になる。


20年度の改定では物価が0・5%増、名目賃金が0・3%増だったため、名目賃金が指標になった。その上で、マクロ経済スライドによって0・3%から、公的年金の被保険者数と平均余命の伸びから算出した削減率0・1%を引き、名目の改定率は0・2%増となった。しかし0・2%増といっても、物価変動率0・5%増を下回っており、年金支給額は実質では0・3%減となる。


財政改善を名目とし、消費税増税に加え年金の減額が、経済優先のはずの安倍内閣の下で実施されているが、これは日本経済をさらに悪化させ結果的に財政を悪化させる悪手である。


日本経済は金融面でも消費面でも高齢者世帯に依存していることを忘れている。現在65歳以上の高齢者世帯は全世帯の半分に達している。さらに高齢者世帯の1/3が2500万円以上の金融資産を有している。

 

安倍総理が賃上げを叫び、仮にそれが実現できたとしても、高齢者の消費意欲を抑えては個人消費は拡大しない。


消費税の増税や年金が実質減額されつづけることが、高齢者の将来不安を煽っており、金融資産があっても消費をますます抑える傾向にある。これが個人消費を抑え日本のGDP成長を妨げている。


政府も高齢者の金融資産を使わせようと住宅資金贈与枠1200万円、教育費枠1500万円等の制度を設けているが、これを利用できるのはごく一部の金持ちの高齢者であり、金融資産5000万円に達しない高齢者では利用できない。


こんな特別な制度よりも年金を安定させることで高齢者の将来不安を解消する方が消費を増やすうえでは余程効果的である。


バフル崩壊後経済を停滞させてきたのは将来不安であり、最も効果的な経済政策は国民の将来不安を解消できるビジョンを政府が示すことである