日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

フランスでの与党敗退に見るヨーロッパ理想主義の終わり

ヨーロッパの理想主義とそれを体現するEUに逆風が吹いている。6月30日と7月7日の2回、投票が行われる仏国民議会選の世論調査で、国民連合と共和党の右派連合37%、不服従のフランスや社会党などの左派連合28%がエマニュエル・マクロン大統領の中道連合20%を大きく引き離している。

 

マクロン氏は大統領に就任してからの7年間、フランスをビジネスフレンドリーに転換させ、200万人の雇用と600万社以上を生み出したとエコノミスト誌は評価する。しかし、フランス国民はそれを評価しなかった。

 

理由は簡単である。パリをはじめ大都市が繁栄する一方で、フランスの地方は衰退している。富裕層がますます豊かになる一方で一般国民は貧困化しつつある。格差に対する認識が移民やCO2削減等の理想主義を進めるEUへの反発を招き、フランスの政治を右傾化させている。

 

東欧やアフリカからの移民の流入で失業者が増加し治安が悪化している。CO2削減で電気料金は値上がりし、割高で充電に時間を要する電気自動車を強制され、フランスだけでなくEU管内の先進国の国民生活は圧迫されている。

 

日々の生活におわれる庶民にとってEUの掲げる人道主義や気候変動の防止よりも日々の自分の生活の方がはるかに重要である。

 

EUの理想主義は生活に余裕のある富裕層の理想であり、日々の生活におわれる庶民にとっては戯言にすぎない。

 

ユーロッパ社会で格差拡大が続く限り、やがてEUの理想主義は終わらざるをえないだろう。