これは勿論企業の責任もあるが、より多くの責任は日本政府にある。経済政策を失敗したことでこのていたらくを招いたのである。
政府の責任というと大抵は政治家の責任に帰すことが多いが、日本の場合は政治家よりも官僚にある。日本では政策に対するシンクタンク機能は伝統的に官僚が担ってきたからである。その官僚が無能だから、政治家に対し効果的なアドバイスができず、むしろ害あるアドバイスにより間違った政策がとられてきたことが日本の衰退の最大の原因である。
アメリカでは上位を占める企業は1989年では様変わりしているが、日本では未だに同じ顔触れが上位を占めている。これは日本で新しい事業や企業が育ってこなかったからである。
日本の行政は関係の深い既存の事業団体を保護する為や批判を避ける為の責任回避の為の規制が多く存在し、新事業を立ち上げる企業が育ちにくい。
タクシーや郵便、農業、医薬分野等非効率な産業部門を保護する為様々な規制は国民に不便を強いるだけでなく、産業の発展の目をつぶしている。
これらは官僚組織との癒着の強い分野であり、彼らの既得権を守る為に様々な口実を設けて新規参入を困難にしている。
日本ではありとあらゆる分野に官僚組織と業界団体による新規参入阻止の為の規制がはりめぐらされている。さらに競争力の無い産業や企業についても雇用維持の名目で補助金を垂れ流し、結果的に非効率な企業や産業を残し日本全体の生産性を引き下げるだけでなく、新しい分野への従業員の移動を妨げている。
これらが、30年間に及ぶ日本衰退をもたらしてきた。東大法学部卒業生中心の官僚人材自体が現在社会に適合していない上、年功序列と純血主義を重視する官僚組織の在り方も現代の社会変化に適応できていない。
官僚組織の破壊的な改革以外に日本が復興する道は無い。