給付金支給事務は、一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が769億円で政府から受託。これを749億円で広告大手の電通に再委託した。電通はグループ5社を経由する形で、人材派遣大手のパソナや印刷大手の大日本印刷に外注した。
10日の衆院予算委ではさらに、国民民主党の玉木雄一郎代表が「孫請け」「ひ孫請け」の先の「やしゃご請け」に当たる大日本印刷の関連会社に外注されていたと、同社で働く派遣社員の証言を基に追及した。
あきれた話である、しかし、これは今回の持続化給付金だけの問題ではない。日本の産業構造に根付く体質である。工事を受注した大手ゼネコンは利益を抜いて下請けに丸投げし、受注した下請けはさらに利益を抜いて孫請けに回す。これが繰り返される結果、十分な利益が出るはずの金額で発注された工事は、実際に工事に従事する事業者にとっては採算ぎりぎりの金額で受注されることになる。これが手抜き工事が発生する温床となっている。
これは土木建設業界だけの話ではない。システム開発も同様である。元受け業者は自社で開発せず利益を抜いて下請けのソフトハウスに発注することが多い。他にも多くの業界で同様なことが行われている。
世界の先進国と比べ、日本で中小企業の数が多いのはこの産業構造が原因である。大企業が何もせず莫大な利益を貪る一方で中小企業は低賃金で採算ぎりぎりの仕事を受けることを要求される。
これが日本経済が成長しない原因の一つだある。安易な利益確保に甘んじている大企業はチャレンジ精神を失い自己革新ができないし、ぎりぎりの仕事しかとれない中小企業は賃金を抑えることでしか利益を得られず、新しい革新的な事業を生み出す余裕がない。