日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本、国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

社会保障問題を考えるには老後をどう生きるかというモデルづくりが必要

今回の選挙で国民民主党が躍進した背景には若者層の支持があったと言われている。中でもその原動力が年々増加する社会保障費への不満であったと考えられている。

 

社会保障問題を根本的に解決するのは少子化対策が成功することであるが、それには時間がかかる。当面政府がすべきことは日本人が高齢になった時に如何に生きるべきかというモデルプランをつくることである。

 

昔は年老いた親の生活は子供が見るのが当たり前であった。親と一緒に同居して生活する。あるいは別居していれば仕送りを送って親の生活を助けるというのが当然のことであった。

 

国民の多くが勤労者となり年金制度が普及した昭和時代には、高齢者は退職金と年金で生活していくことが通常の老後の過ごし方となった。年金制度も健康保険等の社会保障も昭和期においては財政的に余裕があり、現役層に過度な負担をかけなくても十分な給付を実施できていた。

 

しかし、高齢化の進展と日本経済の長期低迷によりそれを維持することは困難になっている。年金も健康保険も財政が悪化し、給付は実質減額されているのに保険料は増加するようになっており、負担する若者だけでなく受給する高齢者も不満を抱く制度となっている。

 

さらに退職金も年々減額されている。2003年に2499万円あった退職金は2018年には1788万円と15年で700万円も減っている。

 

これではもはや退職金と年金で老後生活を賄うという老後プランは成り立たない。老後をどう生きていくかという新しい生活ビジョンが必要である。これがない限り、社会保障改革をいくら唱えても国民の信頼を得ることはできない。