日本の世帯別の平均貯蓄額は約1800万円、中央値でも約1000万円に達している。日本の平均給与所得が約440万円だから平均値でも年収の2倍以上の貯蓄を有していることになる。
普通に考えれば、これだけ貯蓄があればもっと消費に回してもいいはずである。
それは将来への不安である。
一つは雇用不安である。現在非正規雇用者は雇用者全体の40%にも達している。非正規雇用者は正規雇用者と異なり簡単に解雇されるリスクが高い。低賃金で十分な貯蓄ができない上に、何時解雇されるかわからず先行きに対する不安が大きい。これては今多少余裕があってもそれを消費に費やすことは難しい。
もう一つは老後不安である。少子高齢化で財源が不足すると喧伝され、実際年金額は年々減額されており、健康保険や介護保険等の社会保障費用も年々増額されているが、根本的な解決策は提示されておらず、いずれ年金も社会保障も破綻するのではないかと多くの国民が危惧を抱いている。
政府に信頼性がなく当てにならないなら、自分の老後は自分て守るしかないと、若者も高齢者も共にサイフの紐を緩めようとしない。
少子高齢化による日本の未来への不安から企業も国内での設備投資を躊躇している結果、せっかくの多額の貯蓄は有効活用されず放置されている。
政府に必要なのは、少子高齢化が進行しても日本も日本国民も大丈夫だと確信できる説得力あるビジョンを示すことである。